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 平成17年6月1日号より

watn特集タイトル
画面1 ●先月の特集のWATNぶらり一人旅。途中の岩出山駅の「感覚ミュージアム」の特別レポートです。
この「感覚ミュージアム」は人間の五感をテーマにした美術館。忙しい都会の暮らしを忘れ、自然をもう一度見直すというこのテーマの作品などが展示されていました。人間の五感とは視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。
展示作品は基本的に触れる・見る・嗅ぐ・聞く。そしてそれらと出会い、発見する。こう文面で書くと難しそうな感じになってしまいますが、中の展示は実におもしろいです。
画面1 目の前の広場の左に入り口があります。静かに開く自動ドアを入ると、アーティスティックなロビー。手前がおしゃれなカウンターの受付です。さっそくお約束していた施設管理担当の村岡さんをお呼びいただきましたが、 ちょうど村岡さんは他の来場者への説明で中に入っていました。
多くの美術館は入場してしまうとほったらかしですが、ここは何名かの担当の方が説明についてくれます。
しばらくすると村岡さんが笑顔でいらっしゃいました。挨拶もそこそこにさっそく案内していただきました。
画面1 ●これ解りますか?大きな円の中で寝ながら自転車のペダルをこいでいるのはWATNです。実はこの大掛かりな仕掛けは円の後ろの壁にチョークで絵を描く作品なんです。どうなっているのかというと、ペダルを回すと円が右へ左へWATNを乗せたまま移動するのです。そして手のペダルを回すと円の裏に付いているチョークが上下に動くのです。ロビーの端から端まである壁に描けるのですが体力が結構いります。
説明書には「人力落書きマシーン」と書いてありました。ふ〜。疲れた。
写真だとわかりにくいですが、歯車も木で作ってあるんですよ。
画面1 ●ロビーの奥に変わった形のテーブル?いや、上に並んでいる面白い形の作品は全部”楽器”なんです。透明なアクリルの筒を叩くと「ポーン」、長さが異なると音程が違います。太鼓のような皮を叩くと「ボン〜〜〜〜〜〜」と長い時間響く。じつはその皮の下にばねが入っているんですって。おもしろい音ですー。ゴムのジャバラを押すと上の方から「フィー!」笛がなりました。ジャバラの空気を長い管で上にある笛まで送っているんです。
数人でパーカッションのセッション演奏なんかこのテーブルを囲んで出来ると楽しいでしょうね。
●さあ、チケットを切ってもらって入場です。初めのスペースは写真は無理。真っ暗な部屋なんです。まずは手の感触だけで何かを探る「闇の森」。光の無い部屋に頼れるのは手すりだけ。その手すりを触りながら進むと壁にぽっかり開いた穴。その中に手を入れて何かを当てるんです。
画面1なかなか難しいです。ちょっと村岡さんにヒントをもらいましたが、言われると「ああ〜!本当だ」と納得の物でした。日ごろ目で確かめる事も手だけの感覚ではわからないなあと実感でした。
●真っ暗な部屋から出ると、目に飛び込んでくる自然の光。そしていままで体験したことのない自分を取り巻く360度全部がガラスの反射。一瞬空中に浮いているような感覚がおもしろいです。少し動いたりすると回りの見え方が変わるので実に不思議な空間です。
画面1 ●そして次の部屋は、また真っ暗。と、壁には何やらビニール上の枕が繋がったような帯が取付いています。ちょっと押してみたらあらら!押した場所が光りました。そして強く押すと、青から白になり隣がどんどん光っていきます。ちょうと音量を見るLEDメーターのようです。強く押したり、リズミカルに押したり、その都度横に延びる光の帯にしばらく遊んでしまいました。
空気圧を電気に変え、中のLEDを発光しているという事ですが、手の感触がそのまま目で見るというところがすばらしい作品でした。感動!
画面1 ●左の写真、緑色に浮き出た天井に写るのは床に張りつめられた水の反射光。波の揺らぎが気持ちをよ〜〜くしてくれます。この感覚ってなんなんでしょうねー。人が生まれる前におなかのなかで羊水に浮かんでいた時の感覚が残っているのでしょうか実に落ち着く空間になっています。
その横の部屋には白砂を敷き詰めた床に影をモチーフの映像を投影しています。ここは目で見えない空気や虚空などを体感できる不思議な空間です。
画面1 ●右の写真は紙縒りと円柱で作った木。この紙縒りには香りはついていないのですが、円柱に近づくと何か良い感じ。
円柱は9本立ち、紙縒りがやさしい森をイメージしています。そして円柱には穴が空いていてそこに顔を近づけると岩出山をイメージした香りと音がしてくるのです。
その”木”の奥に「ハートドーム」がありました。大きなハート型のドームの中央にハート型にくりぬいたくぼみ。ここにカップルで寝ながら上を見ると空間に浮いているような幸せな感じ。ちょうど熟年カップルがいましたのでWATNは写真は遠慮しましたー。
画面1 ●広場を見ながら自然の風を感じながらロビーへ移動です。ロビーの楽器テーブルの裏に市民ギャラリーがありました。ここには市民の皆さんの作品が展示されているのです。
部屋の壁一面にはなんと引きだしがずらり。その数なんと1000個。そのひとつひとつが展示スペースです。とても全てを見る時間がないので残念でしたが、ちょっと目を引いたのが写真の引きだし。小さなイスが整頓されて並んでいました。ただそれだけなのですが、なにか懐かしい(小学校時代?)思いがありました。
●最後に案内された「スペースアンドサウンド」と言う部屋に入ると、そこは未来空間。人がすっぽり入ってしまう大きなリングが天井から車輪のように2個釣られていました。そのリングにはなにやらコントロールハンドルがありました。リングをまたいでそのハンドルを回すと、その空間全体に音が飛びます。そしてリングの方向を変えていくと正面の画像が連動して動きます。未来の意思伝達方法?のような感じです。これはぜひ体験してもらいたいですね。
画面1 ●さてこの「感覚ミュージアム」の原点は自然。広場を見渡す屋上に行ってみました。そこから見えた外の景色は「あ〜〜、この風。この展望。いいなああ。」
近くには川が流れ、そこから吹いてくる風が至福の時です。そしてそこに展示されているのが、オレンジ色のおもしろい形のラッパ。でも吹くのではありません。そっと耳をつけるとそこには自然の音がありました。風が吹けば「ボワー!」。自然を聞くと言うことを確認できるんです。静か、という音も確認できるんですね。
●WATNは川崎〜東京と毎日暮らしていますが、アスファルトの道を行き来している自分が自然を確認し、人間の五感を実感した貴重な体験の日でした。快く取材にご協力いただいた「感覚ミュージアム」のスタッフの皆さんと村岡さんには感謝しております。ありがとうございました。

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〒989-6434
宮城県玉造郡岩出山町字下川原町100
TEL:0229-72-5588

 
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渡辺よしお (watnjp@ybb.ne.jp)